第4回 製薬会社合同症例検討会 症例(架空)

【症例】50歳 女性                               
家族歴同胞3人中第1として出生する精神科的遺伝負因はない。
【既往歴】特記事項なし
【生活歴】高卒後、事務員となった。19歳で結婚し、娘2人をもうけた。夫の浮気や飲酒で喧嘩が絶えず、別居し一人暮らしを始めた後、47歳時、離婚した。
【現病歴】X-1年12月、会社が不景気となり収入が半減した。その後、貯金が減っていく不安が大きくなり、日中は落ち着かず夜は眠れず、X年213日以降仕事に行けなくなった。同月20日早朝、母親に「今から死ぬ」と電話をした。その後、風呂場で電気コードで首をくくろうとし、はずみで転倒し腰部を強打した。同日夕方、救命救急センターを受診した。精査したところ、腰部打撲のみで骨折、頭蓋内出血等の異常はなかった。血液検査、心電図でも特に異常は認めなかった。同年221日、精神科クリニック初診後、当院を紹介され来院した。
【入院時現症及び状況】 うつむき、言葉少なに「皆に迷惑をかけた、私が悪いんです」と自責感が強く、自殺念慮も認めた。大うつ病と診断した。焦燥感を伴った抑うつ気分を背景に自殺企図が繰り返されるおそれがあるため入院治療が必要と判断した。病識に乏しく同意が得られなかったため医療保護入院となった。自責感が強く自殺念慮も認め、焦燥感から不穏状態へ転じやすいため、隔離を開始した。鎮痛のためのケトプロフェン貼付剤以外に投与されている薬剤はない。
抗うつ薬の投薬が必要と思われるが、維持療法までを見据えた治療を行いたい。
何をどのように用いるべきか。
 
上記のようなケースで
抗うつ薬を発売する製薬会社のMRに、
参考となるような論文がないか、それをふまえて会社の薬を用いた治療戦略の提案はないか
 
の情報提供を依頼した。